コラム

台日系カルチャープロデューサー田中佑典の微住のススメ ~台日系カルチャー第二章の舞台は地方~

日本で台湾カルチャーを語る上でかかせないキーパーソンのひとり・田中佑典さん。

台南での微住

日本と台湾をつなぐカルチャーマガジン『LIP 離譜』の発行、台湾関連の企画・プロデュースなど精力的に活動を続けています。

これまで東京を中心に活動していましたが、現在は故郷である福井に拠点を移し福井への「微住」や「微遍路」など新たな価値を創造中。

今回は、田中さんが福井で始めた取り組み「微住」について紹介していただきます。

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微住という言葉が生まれたわけ

皆さんこんにちは!

生活芸人、台日系カルチャープロデューサーの田中です。

僕は2010年頃から台湾にハマり、台日間の文化交流を盛り上げたいと、「台日系カルチャー」と打ち出して、約10年にわたり台湾と日本を行き来しながら両国のカルチャーの発信を続けてきました。

今日のタイトルにもある「微住(びじゅう)」とは、その活動の中で生まれた造語です。

この言葉は、2015年あたりから我が故郷である福井県の台湾向けインバウンドの企画やお手伝いをさせていただく中で感じた「ズレ」から生まれたものです。

当初、いわゆる福井の観光PRのお手伝いをしていたのですが、発信される情報と、僕が実際に出会った台湾の人たちが日本のローカルに求めている情報の間にズレがあるように感じました。

台湾人が福井県のような観光都市でない地方に求めるものは決して華々しい観光スポットではなく、その地に根差した「暮らし」を知ること、または体験することなのではないか、そう思い至り、中国語でそれに当てはまる言葉を探しました。

しかし僕の意図する中国語は見つからず。

それならば新たに作ろうと、たまたま台湾のタピオカミルクティー屋のメニューで見かけた「微糖」の文字にヒントを得て、「微住」という言葉を福井県ならではの旅の形として打ち出しました。

微住を広めたいと活動を本格化

そして2017年にその「微住」をコンセプトにした福井のガイド本『青花魚(さば)』を台湾の雑誌『秋刀魚』の編集部、そして写真家の川島小鳥さんと共に発行したのが、この「微住」の本格的なスタートとなりました。

その後さらに微住の活動と概念を広めるため、福井県の各地の特色を活かし台湾人の微住者の受け入れをスタートしました。

それと同時に僕自身は台湾をはじめ、アジア各国の地域に「アジア微住」と題して2ヶ月に1回のペースで微住を行っていました。

しかし新型コロナウイルスの感染拡大により、福井県での受け入れも僕のアジア微住もストップせざるを得ない状況となりました。

アフターコロナの台日間の旅は「微住」へ

微住とは一言で説明すると「地域の暮らしを体験し、“ゆるさと”をつくる旅」です。

“ゆるさと”とは、ふるさとではないけれど自分が能動的に関係を育み第二のふるさとのように思える地域を指す、これもまた造語です。

微住の中で食べた台湾家庭料理

そんなゆるさとは、日本国内に限らず台湾や国外にあって良いと思うし、僕自身アジア微住を続けていく中で、いくつかの地域で「ゆるさと」と言える特別な関係を持つことができました。

きゅうり農家でのお手伝い

高雄で茶摘み体験

コロナ禍の中、すぐに各地で微住とはいきませんが、微住をテーマにした旅や考え方は今後の時代の流れにフィットしてきているように思えます。

今後すこしずつ海外への渡航が可能になったとしても、しばらくは航空チケットは以前と比べ高騰するでしょうし、旅に出るためにいろいろな条件(ワクチン接種など)も加わるでしょう。

これまでのように気軽にLCCを使い、 買い物やグルメをサクッと楽しんで帰ってくるというような旅はしばらくは難しくなると考えられます。

そうなれば、ひとたび旅に出るのなら、これまで以上に特別な目的や場所を求めたり、 滞在期間もテレワークなどを活用して長期にする、あるいは、せっかく行くならこれまでの日数より長期で行こう考える人も増えると予想しています。

ヒト・モノ・コトも注目され始めた地方

また現在台湾でも地方創生が盛り上がりを見せていて、これまで台北一極集中だったヒト・モノ・コトが、昨今では各地域で輝きを放っていると感じます。

特にヒトについては地方移住や二拠点生活など日本と同様の変化が生まれています。

面白い人材やその魅力は台湾の地方へと散らばり、またこれまで向けられてこなかったスポットライトも当たるようになっていると感じます。

日本も台湾もこれからは「地方」がより面白くなっていくと予想される中で、「これまでは気軽に台北の観光スポットを巡っていたけれど、次は台湾の地方へ1週間かけて行ってみよう」と考える方も今後きっと増えていくはず。

2010年頃から約10年にわたって発信していた台日系カルチャーもその舞台の中心は東京と台北でしたが、これからの台日系カルチャーの舞台はきっと双方の地方にも広がっていくはずです。

僕はその中で「微住」という旅の形を普及していきたいと思っています。

地元のおじちゃんに溶け込んでおしゃべり

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※「微住」は商標登録された言葉です。権利者以外が権利者の許可なくビジネス等に使用することはできません。ご注意ください。

Akushu
新型コロナに起因して在宅勤務が主流の企業が増えたり、ワーケーションがめずらしくなくなったり。田中さんの言う「微住」を実現しやすい環境になりつつあるといえるかもしれません。旅の多様性の一つとしての「微住」楽しみですね。Akushuもアフターコロナの暁には台湾にもそして福井にものんびりゆっくり滞在したいです。田中さん、ありがとうございました!

 

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田中佑典

職業、生活芸人。 アジアにおける台湾の重要性に着目し、2011年から日本と台湾を行き来しながら、日本と台湾をつなぐカルチャーマガジン『LIP 離譜』の発行をはじめ、台日間での企画やプロデュース、執筆、クリエイティブサポートを行う“台日系カルチャー”のキーパーソン。「カルチャーゴガク」主宰。

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