コラム

高雄まちづくり~左營の歴史建築~木村一心の目を通してみる左營-前編

台湾に移住して、現地のディベロッパーに設計士として所属しつつ、 台中にてアートギャラリーを運営している木村一心 (きむらいっしん) さん。

木村一心写真

Akushuにも台中の街づくりについて記事を書いていただいています。

今回は、Akushuウェブマガジンにも記事を掲載している高雄の料理人江舟航(ジェイミー)の誘いで訪れた高雄左營の街づくりについて紹介していただきます。

今回も大変興味深い内容です。前編、後編に分けてお届けします。

高雄まちづくり~左營の歴史建築~

こんにちは、木村一心と申します。
台湾に7年住み、まちづくりに携わる仕事をしています。

以前もAkushuさんのWEBマガジンにて、「実践!木村一心の台湾でまちづくり」※1というタイトルで6つのコラムを書かせていただきました。
読んでくださった皆さま、ありがとうございました。

その後、高雄の歴史的な街や建物を訪れる機会がありまして、その際に学んだことを、また皆さんにシェアできればと思っております。
この度、高雄の左營という街を拠点に活動する料理人、江舟航(ジェイミー・ジャン)さん※2の案内のもと、左營で行われているまちづくりについて、3回のテーマに分けてご紹介させていただきます!

左營の観光名所:龍虎塔

高雄には、人気の観光スポットがいくつかあります。その中で最も有名な場所の一つが龍虎塔※3です。

龍虎塔は、塔の向かいにある慈済宮が建立した楼閣で、蓮池潭という大きな湖の中に建っています。
入口と出口に、龍と虎の巨大な装飾が施され、龍の口から入り、虎の口から出ることによって災いや厄を振り払うことができると言われております。

台湾らしい迫力満点の風景を写真に残すことができ、パワースポットとしても人気なので、コロナ前は、日本からの観光客で賑わっておりました。

龍虎塔を案内するジェイミー・ジャンさん(左)と木村(右)

龍虎塔のある左營という街は、高雄の中心地からは少し離れており、龍虎塔を目的に来た観光客は、すぐ市街地に引き返してしまうため、周辺に何があるのかあまり知られていません。
龍虎塔に訪れた日本の皆さんに左營をもっと楽しんでもらえるよう、ジェイミーさんに街を案内していただきました。

円筒型の巨大集合住宅:果貿社區

龍虎塔に訪れる前、ジェイミーさんに面白い朝市があると聞き、果貿社區※4という古い団地に向かいました。
団地の敷地に近づくと、大きな円筒型の巨大な建物が目に入ります。このエリアには12~18階建ての集合住宅が合計13棟建っていました。

円筒型の集合住宅

円筒型の集合住宅(外観)

円筒のように見える建物は、2つに分かれ(8と9号棟)、それぞれ独立して建っており、半円型の形態で向かい合っています。
大きく弧を描く壁面は、周辺の風景や屋内の生活空間に、視覚的に影響を与え、美しく、異質な空間を作り出しています。

この果貿社區という場所は、かつて海軍によってつくられた果貿三村と呼ばれる眷村でした。眷村とは、戦後、大陸から台湾に移り住んだ外省人のために開発された地区のことを指します。
かつて果貿三村は、南部最大の眷村だったそうです。
その後、建物の老朽化により、1980年代に新しくこの13棟の住戸が建設され、元々住んでいた軍の関係者が移り住むのと同時に、低・中所得者層の一般市民にも開放され、現在もたくさんの人が生活をしています。

果貿社區

Google Earthで俯瞰で見た果貿社區

果貿市場と生活空間

建物がとても特殊な形態をしていて、まるでSFの世界にいるような感覚になりますが、居心地はとてもいいです。

壁面にはたくさんの開口があり、巨大な壁による窮屈さは感じません。開口は一つ一つ立体的に切り込まれていて、周りの風景とも馴染んでいます。

また1階部分は、ほとんどが商店となっており、建物と外部との領域が緩やかに繋げられています。

円筒建物2

円筒内側の外壁の様子(写真左上)、円筒外側の外壁の様子(写真右上) 開放的な建物への出入口(写真左下)、1階の商店(写真右下)

またこの団地の大きな特徴として、敷地内に果貿市場※5という市場があります。

住戸と住戸の間の路地に、市場空間が広がっていて、朝からたくさんのお店が立ち並び、この団地の住民や、外部の観光客で賑わう風景は、とても楽しい雰囲気でした。

団地というと、日本では閉鎖的なイメージですが、外部に開放され、人の集まる場所として成り立つ様子は、とても新鮮でした。

市場空間の側には、公園が広がり、朝ごはんを友人と食べたり、遊具を使って運動したり、話し込む住民の皆さんの楽しげな様子を見ることができます。
建築好きの方には、もちろんおすすめですが、文化的な生活空間や果貿市場の人気朝ごはん屋さんなどに行ってみたい方は、市場が一番活気のある午前中に、ぜひ足を運んでみてください!

果貿市場

団地の敷地に広がる果貿市場

※1実践!木村一心の台湾でまちづくり

第1回 リノベーション編:
https://akushu-taiwan.com/isshinkimura_townplanning1/

第2回 歴史建築編:
https://akushu-taiwan.com/isshinkimura_townplanning2-1/

第3回 地域コミュニティ編:
https://akushu-taiwan.com/isshinkimura_townplanning3-1/

第4回 オンライン編:
https://akushu-taiwan.com/isshinkimura_townplanning4-1/

第5回 アート編:
https://akushu-taiwan.com/isshinkimura_townplanning5-1/

第6回 地方創生編:
https://akushu-taiwan.com/isshinkimura_townplanning6-1/

 

※2 江舟航(ジェイミー・ジャン)日食生活というデザートスタジオを運営

https://www.facebook.com/eclipse2013/

 ※3 龍虎塔

https://khh.travel/zh-tw/attractions/detail/11

※4 果貿社區

高雄市左營區果峰街4巷3號一樓

※5果貿市場

高雄市左營區中華一路9號

後編はこちら

 

スポンサーリンク

  • この記事を書いた人
  • 最新記事

木村 一心

木村一心 1988年茨城県生まれ。東京理科大学大学院 理工学研究科 建築学専攻卒。台湾に移住して、現地のディベロッパーに設計士として所属しつつ、アートギャラリーを運営する会社を経営しています。

Copyright© Akushu ㅣ台湾とつなぐ・つながるWEBマガジン , 2022 All Rights Reserved.