日常に台湾を 台湾の文化・交流・観光・グルメをより身近にするMagazine

Akushu ㅣ台湾とつなぐ・つながるWEBマガジン

コラム

料理人・江舟航とめぐる台湾の南国ライフー2前編 ノスタルジーと新しさが結びつく高雄・鹽埕

台湾・高雄にデザートスタジオ「日食生活」を構え活動する江舟航(ジェイミー・ジャン)。

台湾の食文化の発展にも力を入れ、台湾全土の学校での講演やワークショップを行う傍ら、料理講師等も務めています。

2017年の日本のフェスイベント『森.道.市場』に出店したことをきっかけに、日本との交流も開始。

スイーツや料理にとどまらず、南台湾を中心に台湾の文化や見どころなどを伝えています。

そんなジェイミー・ジャンの目を通して触れる台湾。第2回はこれもまた日本との関係が深い鹽埕(以下塩埕/日本語読みはエンテイ)地区を2回に分けてご紹介します。

ジェイミー自己紹介写真

ーー

「塩埕」(イェンチェン)は高雄の行政区の中で、ずっと重要な役割を持ち続けていた地区だ。

高雄港がある関係で、貿易と行政面での中心として栄えたことはもちろん、港を通して高雄と海外とが交わる起点だったといえるだろう。

河口の湿った土質は農作物を育てるのにはあまり適していなかったけれど、生活必需品として欠かせない「塩」を作るのに適していた。

それで16世紀にはこのあたりは見渡す限りの塩田が広がっていて、そこから「塩埕」と名付けられたという。

17世紀には、清朝が食塩の経済的価値を見出して製塩業の発展に力を入れ始め、それが大陸側からの移住者を引き付けることとなり、次第に集落が結成されていった。

19世紀の初めに台湾が日本の統治下にはいると、政府は40年にもわたる港湾整備計画に着手することになる。

高雄港の海底の土砂をすくい上げ、湿地や沼地を埋め立てて「塩埕」を行政や貿易の重要地点とし、さらに鉄道と港湾の利便性を活かし、台湾各地の物産を輸出、あるいは日本の各地に輸送できるようにしたんだ。

あわせてそれまで「打狗」と呼ばれていた地名を正式に「高雄」と改めた。

2020年は高雄と地名を改めてからちょうど100周年にあたっていて、高雄港ではそれを祝した特別なショーが行われている。

港灣的聲光秀表演

汗と喜びがつまった駁二(The Pier 2)

当時、高雄港の周辺には貨物船が荷下ろしをしたり、その荷物を保管する必要性からたくさんの倉庫が建設されていった。

「駁二  (ThePier 2)」は過去、「第二倉庫」として使用され輸出する砂糖や調味料などが保管されていた。

しかし1970年ごろになると砂糖の国際価格が大幅に下落。倉庫群は商機が失われたことに伴ってだんだんと必要がなくなり、放置されてボロボロになっていったんだ。

そうして、もうすぐ21世紀というその時、政府に対して「第2倉庫を文化芸術特区にする」という計画をたくさんの人々と文化芸術関係者が発案。

そして文化局の計画と管理のもと、第2倉庫は人気スポット「駁二藝術特區(ThePier 2 Art Center)」として生まれ変わることとなる。

100年近い歴史を持つ線路は貨物を運ぶためのものではなく、各地から訪れる観光客のためのものになった。

ライトレールと駁二地区

 

おじいさんの愛した「高級品」-堀江商場

当時の「塩埕」は、人口が増加し生活上のニーズの高まりを受けて「堀江商場」、「塩埕第一公設市場」などの市場に世界各地から集められた布、宝石、アクセサリー、舶来雑貨、食品などがあふれかえり、かなりの規模でにぎわっていた。

堀江商場

子どものころ、ぼくのおじいさんは高雄の市街地から故郷に帰るとき、必ずぼくと一緒に「堀江商場」に出かけて、石鹸やチョコレート、ビスケットなんかを買っていた。

おじいさんがちょっと得意げな顔で「これは最高級品だぞ!」と話していたことを今でも覚えている。

舶来品店舗

今、この市場には僕にとって目新しいものはないけれど、薄明かりの中で宝探しをする感覚で、ぼくのおじいさんがひいきにしていたのはこの店かな?と想像したりするんだ。

ボタンやさん(塩埕第一公有市場内の老舗 高鈺鈕釦行(ボタン・手芸店))

ーー

後編はこちら

店舗情報

駁二藝術特區 (The Pier 2 Art Center)
住所:高雄市塩埕區大勇路1號
営業時間:月~木10:00~18:00/金~日および祝日10:00~20:00
WEBページ: https://jp.pier2.org/

堀江商場
住所:高雄市塩埕區五福四路229巷
※五福四路と七賢三路の交差点当たり
※高雄の原宿といわれる新堀江とは異なる場所にある
営業時間・休日は各店舗による。午後開始が多い様子。夜は22時ごろまで?

  • この記事を書いた人
江舟航(ジャン)

江舟航(ジェイミー・ジャン)

デザートスタジオ『日食生活』の代表兼パティシエ。著書に『土文青、洋菓子』などあり。高雄を拠点に、食文化の発展に力を入れ、台湾全土の学校における講演ツアーをはじめ、講師等も務める。2017年には、日本のフェスイベント『森.道.市場』に出店。菓子職人として、日台食文化の交流を深めていく。

Copyright© Akushu ㅣ台湾とつなぐ・つながるWEBマガジン , 2021 All Rights Reserved.