台湾では誰もが知っているポピュラーな食べ物、肉鬆。
私が初めてその文字を見た時には、読み方がわからず、脳内で「にくひげ?」と認識したのですが、一緒にいた夫は「にくまつ?」と読み、漢字のおもしろさを思ったりしたものですが、正しくは「ろうそん」と読みます。
その正体は「肉でんぶ」。
日本で「でんぶ」といえば、魚肉で作る「桜でんぶ」がお馴染みですが、台湾では、豚肉で作るものが一般的です。(魚で作る、魚鬆(ゆぅそん)というものもあります。)
鬆という字には、ふわふわと軽くほどけたもの、というような意味がありますので、肉鬆は、その文字のとおり、肉のふわふわした軽いものということになりますね。
日本の桜でんぶと同じく、ご飯やお粥のお伴にするのが基本ですが、台湾で目を引くのが、パンやスイーツと合わせる使い方です。
茶色いふわふわとした、毛くずのようなものがパンの上部を覆っている図に、驚かれた方もいらっしゃるかもしれません。
サンドイッチの具材になっていることもあれば、甘いカステラ状のスポンジケーキに挟まれることもあります。
パンまではなんとか理解しても、カステラとなると、ついていけなくなる人が増えてきそうですが、食べてみると案外合う。意外にもハマってしまう。
肉鬆にはそんな魅力があります。
私自身は、特に好きでも嫌いでもなく、ややスルーしていた食材なのですが、自由に海外に遊びにいけなくなって数ヶ月、ふと思い立って作ってみることにしました。
作り方はシンプル。ホロホロにほぐれるまで火を通した豚肉に、砂糖や醤油、香辛料で味をつけ、フライパンなどで煎りながら水分を飛ばしていきます。
完全に水分が飛び、繊維だけの状態になったらできあがり。根気はいりますが、少量であれば、家庭でも十分作ることができます。
味付けのポイントは、甘みをしっかり効かせること。この甘味が、ご飯の伴としてもとしてもスイーツとしても活躍する、オールマイティさの鍵となります。
まずは台湾おにぎり(飯糰)の具材として
マヨネーズを塗ったパンに乗せて
ホットサンドにしてみたり
そしてスイーツ。ロールケーキに巻き込んで…
元はお肉ですから、豆乳スープ鹹豆漿などに入れて、溶け出す旨味を味わうのもありです。
台湾に遊びに行くと、美味しいもの食べたいものがたくさんありすぎて、「ポピュラーかつ地味でいつでも食べられる」ものを口にする機会が案外少なかったりしますが、離れてみてようやく気づく魅力といいましょうか。私もすっかりハマってしまいました。いまでは毎朝のように、食パンに挟んで食べています。
次に訪台できる時がきたら、肉鬆を使った現地のフードを、改めて楽しんでみたいと思います。
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Akushu的には結婚式の引き出物の月餅にあんこといっしょに肉鬆が入っていた時にカルチャーショックを受けました。
日本に戻ってからはご無沙汰の食材でしたが、はなうたさんの記事を見て再チャレンジしたくなってきました!
台湾に自由に通える日はまだ少し遠いようす。ぜひみなさま、はなうたさんに肉鬆レッスンのリクエストを!