みなさん、高菜漬けはお好きですか?
はなうたは、九州出身の祖母と暮らしていたこともあり、幼い頃から高菜漬けには親しんできました。
古漬けになったものを炒めてご飯にのせていただくと、おかわりが止まらなくなってしまいます。
高菜は芥子菜/カラシナの一種で、葉がとても大きく、繊維が丈夫なのが特徴。
その特徴を活かして、紀州、熊野地方を中心とした地域では、漬けた高菜の葉でおにぎりをまるごと包んだものが「めはりずし」として親しまれていたりします。
大きく育てやすいカラシナは、地域が違ってもやはり重宝されるのでしょう。
台湾でもカラシナ(芥菜)のお漬物は生活に根付いています。
日本と異なるのは、出来上がった漬物をそのままご飯にのせて食べるのではなく、多くは調味料として使われること。
スープの具材になったり、刻んで肉団子に混ぜ込んだりと、さまざまな料理の名脇役として活躍します。
さらにもう一つユニークなのは、シンプルな塩漬を基本としながら、その後の保存方法や期間により、名前が変わっていくことです。
以下に簡単にその違いを記してみます。
1)鹹菜/酸菜(シェンツァイ/スァンツァイ)
カラシナの葉を塩漬にし、数日おいて乳酸発酵させたもの。
高菜漬けとほぼ同じ。ただし日本で一般的に流通しているものに特徴的な甘みはほとんどない。
2)福菜(フーツァイ)
鹹菜を数日天日に干して半乾きの状態にし、塩分濃度を高めたものを、空気に触れないよう細口の瓶に詰め込んで保存、熟成させたもの。
食べるときには細い口から葉を引っ張り出さなくてはならないので、比較的大きめの葉が向いているよう。
3)梅乾菜/梅菜(メイガンツァイ/メイツァイ)
福菜を作る過程のものをさらに日に干し、水分を完全に飛ばしてから小さく丸めて瓷などに詰め保存熟成させる。
いくら漬物といえども、冷蔵庫や冷凍庫のない時代に保存できる期間には限度がありますが、水分を抜く、空気を遮断することでかなりの長期間の保存が可能になります。
食べきれなかったものは次の工程へ。そして時間を経ることで独特の風味が加わり、新たな味わいが生まれる。生活の必要、知恵から生まれたバリエーションであり、知恵なのですね。
見た目がおもしろいのは、やはり瓶詰めにする福菜でしょうか。
空気に触れさせなければ食べ物は傷みにくい。とはいえ専用の機械などはまだない時代に、口の細い瓶に詰めて真空状態をつくるというのはなるほど!と関心します。
ちなみにこの福菜、さらに真空状態を徹底するため、保存するときは上下を逆にするそう。
そうすることで、保存中にわずかに出てくる塩を含んだ水分が瓶の口側の空間を埋めてくれるので、より理想的な状態で保存できるのですね。
「福」菜という名前についても、もともとは「覆」、つまりひっくりかえすという意味だったところに、縁起の良い「福」という漢字を当てはめたという説があります。
これらカラシナの漬物をつかったお料理は、台湾のレストランでもしばしば見かけます。
漬物の塩気とうまみがうまく生かされた、日本人の口にも合うお料理が多いので、見かけたらぜひトライしてみてください。