コラム

日台音楽カルチャー花開記 ~寺尾ブッタが語る台湾ミュージックシーン vol.2レーベル編(下)

東京・青山そして台湾・台北にてライヴハウス・月見ル君想フを運営し、日中台間のライヴの企画・サポートを行う傍ら、音楽レーベル『BIG ROMANTIC RECORDS』を運営し積極的にアジアの音楽・文化情報を発信する寺尾ブッタさん。

そんな寺尾さんが語る台湾の音楽とと日本との交流。今日までの紆余曲折を大いに語っていただきます。

第2回目は「レーベル」について。後半は台湾のレーベルが多い理由と特徴、そして「DIY」をキーとして寺尾さんおすすめのレーベルをご紹介いただきます。(前編

台湾のレーベルの多さと特徴について

先にあげた3つのレーベルは、インディーズとはいえかなり規模が大きく、アーティストの活躍するフィールドもそれなりに大きいものでした。

当時自分は100-200人くらいの小型のライブハウスから新しいカルチャーが生まれてくるという考えにこだわっていて、台湾でそれを実践するために「台北月見ル君想フ」を立ち上げるという流れの中にいました。今に至ってはそれぞれ何度も一緒に仕事をしたパートナーですが、当時はそこまで接点はなかったように思います。

自分の興味は俄然DIYで運営しているインディレーベルへと向かうのですが、実は台湾にそうしたレーベルは、そこまで多くはありませんでした。
考えられる理由としては、ライブハウスを起点とする音楽産業の発展が(いうても)まだまだ発展途上であるということもあります。ただやはり台湾の人は起業精神が旺盛な人が多いため、音楽産業の規模感の割にレーベル自体は多いなと感じます。

そして、台湾のバンドまたはレーベルは始めはDIYでも、ある程度うまくいくとすぐに事業化するという傾向があります。
そのビジネスに急にシビアになる嗅覚らしきものは、言い方が悪いかもしれませんが、その当時の日本のインディーレーベル(「ビジネス」と「芸術」を切り分けて考える傾向にあり、かつ(当時の)メジャーレーベルの圧倒的な支配力と共存しなければならなかった)とはだいぶ違うマインドだな、と戸惑うこともありました。

今思えば、マーケットが発展途上で変化の著しい台湾の業界で皆さん生き延びるのに必死だったんだと思います。

今や日本のインディーレーベルもビジネスの腕が試される時代になってきたと思いますが、CD販売主体のビジネスモデルから早々に脱却した台湾においても、レーベルが担う役割も刻々と変化しました。
ただ作品を出して売るということだけではなく、規模は小さくともより包括的な業務が行えるレコード会社的な機能を持つことを指向していったのです。

DIYのスタンスで音楽を生み出し続けるレーベルたち

そんな流れの中で、ある程度の成功を収めつつもDIYのスタンスをキープし続けている貴重なレーベルをこれまた3つご紹介いたします。

「White Wabbit Records」

師大の近くに店舗を構える台湾のインディーレコードショップの老舗の一つ。
レーベル運営も古くより行っていて、特に台湾オルタナティヴ、ポストロックの歴史に残る名盤多数(オーナーもポストロックバンド阿飛西雅 APHASIAのメンバーでもある)。
音楽情報誌の発行も行い、シーンの活性化に意欲的。


「airheadrecords」

パンクバンドMidnight PingPongや、今や大人気のバンドdeca joinsなど台湾インディロックの良質なバンドをサポートし、台北インディーシーンを盛り上げているレーベル。

deca joinsのブレイクでレーベルも事業規模を拡大しながらも、DIYカルチャーへのリスペクトをそこかしこに感じる運営を続けています。

「夕陽音樂Sunset music」

バンド「落日飛車」が設立したレーベルで、バンドの国内外での成功に合わせてレーベルだけでなく一気に自身のレコード会社まで設立。
バンドがセルアウト(商業的な成果を求める)と共に独立事業化した典型的な例。

落日飛車

落日飛車

レーベルには、落日飛車の他に、宋柏緯Edison Song、Layton Wuなど注目の次世代アーティストが所属しており、今後も落日飛車の美学に共感する新人アーティストを発掘していくとのことで、期待大です。

いかがでしょうか?バンドだけではなくレーベルの情報が加わると、シーンが立体的に見えてきませんか???

レーベルを軸に紐解くことで、皆さんがまだ出会っていない新しい音に触れることができたら幸いです。
ここで紹介した以外にも素敵なレーベル沢山ありますので是非お気に入りのレーベルを探してみてください。
そしてもちろんですが、我が「BIG ROMANTIC RECORDS」も皆さんに新しい驚き体験をお届けすべく、これからも精進して参りますので、是非フォローの方よろしくお願いします!!

new release

落日飛車の最新作「SOFT STORM」LP日本盤が7/21リリースされました。
詳細など、ぜひBIG ROMANTIC RECORDSにてご確認ください!

soft-storm-mockup-2

《release info》
Artist : 落日飛車 Sunset Rollercoaster
Title : SOFT STORM
Release No. : BRRCD-076
Price:4048yen(税込)
Label:BIG ROMANTIC RECORDS
Release Date:2021年7月21日
Track list :

Aside
1. Soft Storm
2. Overlove
3. Under the skin
4. Passerby (feat. Michael Seyer)
5. Teahouse

Bside
6. Overlove (Rehab)
7. Hyperfocus
8. Midnight with Paul
9. Candlelight (feat. OHHYUK)

※日本語対訳歌詞カード付
※附日文歌詞翻譯

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2021年7月25日公開
2021年9月1日更新

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寺尾ブッタ

BIG ROMANTIC ENTERTAINMENT代表。 東京青山、台北のライヴハウス〈月見ル君想フ〉を運営。日中台間のライヴの企画・サポートのほか、音楽レーベル『BIG ROMANTIC RECORDS』も運営。日本、台湾でのプロモーター業、WEBサイト上でアジアの音楽・文化情報を発信。 2020年7月には下北沢にオープンした「大浪漫商店」は、レーベルグッズの展示販売の他に、台湾ソウルフード「魯肉飯」専門スタンドとして営業。台湾のインディーズカルチャーを最新の衣食酒と共に紹介している。

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