エッセイストであり暮らしや旅にまつわる著書を多数執筆している柳沢小実さん。著書『わたしのすきな台北案内』を読んだことがある方も多いのでは?
台湾に温かなまなざしを向ける柳沢さんに東京で楽しめるオススメの台湾のお店を紹介していただきました。
記念すべき第一回はゆっくりと台湾茶を楽しむことができる「台湾茶カフェ茶嘉葉chacaba」。
柳沢さんの目をとおして、美味しいお茶と素敵な空間、そしてお店で知ることができる、ちょっと意外な日本と台湾のつながりにふれることができました。
台湾のようなゆったり感を
東京メトロ丸ノ内線南阿佐ヶ谷駅から徒歩7分ほどの場所にある、レトロな建物。「茶嘉葉」は、2018年10月にオープンして二年目の台湾茶カフェです。
常連さんが立ち寄っておしゃべりをしていったり、親しくしている近くのお店から「ごはん届けるよ」と連絡がきたりと、すっかりこの街に溶け込んでいます。
一階は台湾喫茶と物販スペースで、二階はワークショップやイベントを行う空間。
店内には、深い茶色が落ち着く昭和のアンティーク家具が置かれ、オレンジがかった電球の明かりがやわらかく照らしています。
カラフルな台湾雑貨や茶器、台湾にまつわる本など、目にとまるものすべてが愛らしく、時間を忘れて長居してしまう。
香り高いお茶に酔い、ゆるゆると店主と話をする。私が愛する台湾のすべてが、ここにはあります。
気軽に台湾茶を味わう空間をめざして
「茶嘉葉」のオーナーは、台湾・新竹出身の敏嘉(ビンカ)さん。ミュージシャンの夫と二人で、このお店を経営しています。
敏嘉さんは2012年、26才の時にワーキングホリデー制度を利用して一年間の予定で来日し、その後帰国して台湾で働くはずが、そのまま日本で学生になり、就職や結婚を経て二人で「茶嘉葉」をオープンしました。
台湾にいた頃から、カフェをやりたいと夢見ていた敏嘉さん。
台湾では、道ばたで近所の人たちがお茶を飲んでいたり、カフェではなくてもお店に来た人にお茶をふるまったりと、お茶がとても身近な存在で、コミュニケーションには欠かせません。
台湾茶は形式ばっておらず、台湾茶器も実はとても合理的につくられていて、“おいしく、楽しく”飲むためのもの。
台湾のポップな音楽が流れていて、茶芸館よりもカジュアルにお茶を飲んでもらえる空間をつくりたい。いつしかそう考えるようになりました。
元々二人は阿佐ヶ谷エリアに住んでいて、善福寺川へお花見に行った帰りにこの建物を見つけました。日本の古いものが好きで骨董を集めたりしていたので、趣ある昭和の建物はまさに運命の出会いでした。
お店の表側のガラス窓は近所にあった戦前の建物が壊された際にいただいてきたもので、カウンターや什器類はすべて日本の古い家具です。建物の雰囲気に合わせて、古いものだけで空間をつくりあげました。
茶嘉葉のこだわり台湾茶
店内では、11種類の台湾茶から好きなお茶を選ぶことができます。3種類のドライフルーツつきで、私は特に土マンゴーとグアバ、桑の実が気に入っています。
この日は敏嘉さん一押しの、紅玉紅茶をいただきました。甘い香りに包まれて、うっとり。「茶嘉葉」が厳選した茶葉はどれも良質で、安心して飲むことができます。
海を超えてー日本と台湾を感じるマジョリカタイル
そして、「茶嘉葉」のもうひとつの見どころは、店内に展示されている貴重なマジョリカタイルです。
マジョリカタイルは表面に凹凸のあるカラフルなタイルを指し、かつて台湾の住宅を飾っていました。これらは台湾・嘉義の「台灣花磚博物館」(※1)より提供されたもので、すべて100年ほど前に日本で作られたそうです。
以前は今ほど釉薬の成分の制限が厳しくなかったため、多様な色が使われていました。紫やピンクなどの微妙な色づかい愛らしく、目をひきます。
マジョリカタイル、花布、骨董など、日本と台湾の古きよき文化が交差するカフェ。中国語教室や切り紙教室、イベントなどを通じて、台湾の豊かな文化を発信しています。
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店舗等情報
台湾茶カフェ茶嘉葉chacaba
住所:東京都 杉並区成田東4-35-27
電話:03-5913-8496
営業時間:営業時間12:00~18:00時
不定休 (来店の際、電話やSNSの確認をおすすめです)
ネットショップ:chacaba.stores.jp
台湾茶、マジョリカタイル等はネット通販でもお買い上げいただけます。
(※1) 台灣花磚博物館
住所:台灣嘉義市林森西路282號
https://www.1920t.com/
月・火曜定休 水~日10:00~17:30
(月曜日、火曜日が祝日の場合はオープン)
※店舗情報・営業時間などは変更になることもございます。営業時間などお店や施設のSNSなどご確認の上お出かけください。