台南と大阪をいったりきたり。お兄さんタツヤさんとともにヤマサキ兄妹として活動し、各種活動や出版物・記事などで日本の人に台南の魅力を伝え、そして台湾の人に日本について紹介をし続けているヤマサキハナコさん。ハナコさんはひっそりと、でも日本の人に伝えてみたいことがありました。
そんな思いから連載が決まり、今回から始まる「ヤマサキハナコの注音符號のススメ」では中国語学習のかなめ「発音」についてやさしく?語っていただきます。
謎?の「ㄅㄆㄇㄈ」
ㄅㄆㄇㄈ
こんな記号がデザインされているのを台湾雑貨で見かけて、「漢字なのか記号なのか、何なのかようわからんけどカワイイ!」と気になってる人も多いかと思います。
実は気にして見るとけっこう台湾の街なかやそこらかしこにも潜んでいるもので、私が初めて「何やこれ?」と気にしたのはアジアの大スタージェイ・チョウ周杰倫の歌詞カード。
そして青木由香著『奇怪ね』の「ね」のところ。
こういう漢字なのかなと思っていたら、これは注音符号(ちゅういんふごう)、中国語だと注音符號(ジューインフーハオ)と発音する、現在おもに台湾で使われている発音記号だということを知りました。
日本の子どもが「あいうえお」から習い始めるように、台湾の子どもたちはまずは注音が基礎、そして漢字という流れで文字を学習します。
(※加えて中国語は発音時の音の高低「声調」(せいちょう)が非常に重要になってきます)
中国語学習の主流派は
ちなみに日本で中国語を勉強するとアルファベットで発音を表記する「拼音(ピンイン)」で習うことがほとんどで、実際それでも何の問題もなく中国語学習はできます。だって中国語学習ではそっちが主流ですから。
ことば | 注音符號 |
よみかた(注音・主に台湾) | ㄓㄨˋ ーㄣ ㄈㄨˊ ㄏㄠˋ |
よみかた(拼音・その他中華圏) | Zhùyīn Fúhào |
私が台南の成功大学の華語中心(外国人が中国語学ぶところ)で中国語を勉強していた時は、テキストにはピンインも注音も併記されていたけど授業ではピンインを使用していました。
非漢字圏出身のクラスメイトたちは漢字ではなくピンインでザーーッと文章を書いていくので「すげぇ!」と感動した思い出。
ちなみに、私が注音符号を覚えたのは、前から注音が気になっていたところに、台湾人留学生による注音符号講座があることを知り受講したのがきっかけです。あれはかれこれ10年以上前、大阪から京都まで受講料1回500円の講座に倍以上の交通費と時間をかけて通っていました。
一応それまでに日中辞書の発音解説を読んだり付属のCDを聞いたり、NHKの中国語講座を見たりしてたので、反り舌や声調など発音の基本的なことは習得し、もちろんピンインの読み方も知ってはいたのですが習ってみたい熱にまかせて京都通い。
そしてその後ワーキングホリデー制度で台湾へ。1年滞在してどっぷり肩まで台湾に浸かっていた私は2014年出版の『オモロイ台南』(※1)で製作時に「どうせやるんやったら食べ物の名前すべてに注音を併記したい」と言ったほどでした。編集さんに「マニアックすぎる」と却下されたけど。
でも、その後2018年出版『大台南見聞録』(※2)では念願叶って表紙に注音を登場させることに成功しました。一ヶ所間違えてたけど。
(2刷では修正済み)
目指せ!注音マスター
自分は注音覚えて良かったなと思っているので、ちょっとでも注音に興味ある人には「ぜひ覚えましょ!」とオススメしています。
その理由は
1.わからない発音があった時、台湾人とのやりとりがスムーズになる
台湾人は注音で育っているのでピンインが解らない人が多く、「この字なんて発音するんやろ?」とか「いま口頭で発音してもらったけどイマイチようわからんから書いてほしい」という時に「ピンイン書いて」と言っても「書けない」と言われるという落とし穴があります。でも注音知ってるとあらスムーズ!
2.ウケが良い
「え~!日本人も注音知ってるの!?」と驚かれます。同じ様に何か台湾語のワードを発した時もウケが良いです。ツカミとしてのコミュニケーションツールにも良いかもしれません。
3.台湾ツウな気分になる
正直他人からしたら「注音覚えてるからってだから何やねん」ではありますが、自分の気分がアガるんやったらそれでいいのです。でも実際に注音はちょいちょい日常生活に潜んでいるので読めると更に台湾がオモロくなるのは間違いないです。
あれ?挙げてみたけどイマイチ弱いな。だからみんななかなか覚えてくれへんのかな……でも
37の記号+声調記号
ほら!覚える数はあいうえおの五十音に比べたら少ないでしょ?
(・・・組み合わせたりで実はそれ以上になるんですけどね)
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※1『オモロイ台南~台湾の古都でしこたま食ってきました~』ヤマサキタツヤ著 ヤマサキハナコ監修 2014年 KADOKAWA
※2『来た見た食うた ヤマサキ兄妹的 大台南見聞録」ヤマサキタツヤ著 ヤマサキハナコ監修 2018年 書肆侃侃房