台湾に移住して、現地のディベロッパーに設計士として所属しつつ、台中にてアートギャラリーを運営している木村一心 (きむらいっしん) さん。
台湾各地で手掛けた物件と連携し、展示やイベントを開催される一方、設計だけでなく建築の運営にまで関わり、国際交流によるまちづくりに挑戦されています。
そんな木村さんの目を通して触れる、台湾の建築、アート、デザイン。第4回目は【オンラインを通した人と街のかかわり】についてご紹介いただきます。
こんにちは、木村一心と申します。台湾に7年住み、まちづくりに携わる仕事をしています。
リノベーション、歴史建築、地方創生などをテーマに、自身の体験を踏まえながら、台湾のまちづくりについて紹介していきたいと思います。
台湾には魅力的な建物やコミュニティが数多く存在し、たくさんの人々が街と深く関わりながら暮らしています。
第1回リノベーション編、第2回歴史建築編、第3回地域コミュニティ編と、そんな街の様子を紹介させていただきました。
人と街の関わりは、オンラインを通して更に強く結びついています。
今回第4回目は、オンライン編というテーマで書かせていただきます。
まち散策アプリ
第 3 回地域コミュニティ編で詳しく紹介した台中市⻄区の百貨店、勤美誠品綠園道*1 さんは、最近おもしろいアプリ*2 を開発しました。
それは、⻄区に存在するたくさんの個⼈商店をアプリ上の地図にマッピングし、オンライン上で情報を閲覧できるサービスです。
このアプリは、"100 万⼈が 1 回訪れる街”ではなく、"1 万⼈が 100 回訪れる街"にするというコンセプトのもと企画されました。
掲げたスローガンは、コミュニティーデザイナーとして知られている⼭崎亮さんの著書「社區設計」*3 を参考にしたと伺っています。
同じ商業コミュニティで切磋琢磨するお店が⼀致団結し、商圈を盛り上げることがアプリ開発の⽬的です。
アプリの画面上では、各店舗の概要を載せるだけでなく、"任務"と呼ばれる期間限定のイベントも掲載しています。
例えば、期間内に指定された3つの店舗で任務(来店する、商品を購入するなど)をこなすとプレゼントや、ポイントがもらえるという内容です。
ゲーム的な仕掛けを設け、オンライン上でも街を散策するような感覚を楽しむことができます。
現在台湾では、飲食店の店内での食事が禁止されています。(※新型コロナ感染拡大防止の措置・2021年7月13日より各種規定を満たした店舗や施設は店内飲食可となりました)
テイクアウトのみの提供が許されている状況で、飲食店を応援するイベントとして計画されました。
このアプリは、2021年の6月に公開されたばかりで、現在加盟店やイベントの企画を増やしているところだそうです。
コロナ明けには大きな盛り上がりを見せるのではないかと考えています。
最先端コロナ対策
台湾では、2021年5月にコロナ感染者が増加し、現時点で7月26日まで、外出自粛の要請がでています。
コンビニなどを含むすべての店舗で、入店の際に実名登録が必要になるなど、厳しい防疫措置が施されています。
政府は自粛要請と共に、オンライン上の施策も講じました。
既に個人情報の登録が完了しているSMSサービスとQRコード機能を組み合わせ、一瞬で実名登録できる仕組みを作り、防疫措置がなるべく日常生活に支障をきたさないようサポートしています。
またそれらの情報を元に、感染者が過去利用した施設、公共機関などをマップ上に表示させ、誰でも閲覧可能にするなど、政府主導でさまざまオンライン上の開発がなされています。
学校が長期休校となったり、店舗への入室に入場制限行われたりと、日本では実行できないような制限が他にもいろいろありますが、これらの措置に対してもオンライン上でのサービスが柔軟に発展し、今後負担のない日常が送れるようになることを期待しています。
参考:
※1 勤美誠品綠園道
日本人にも人気の「誠品生活」などがある百貨店
https://parklane.com.tw/
※2 勤美晴天卡アプリ
https://apps.apple.com/tw/app/%E6%99%B4%E5%A4%A9%E5%8D%A1/id1300690336
※3 山崎亮氏の著書「コミュニティデザイン」の台湾翻訳版「社區設計」
https://www.books.com.tw/products/0010666094
※4 勤美誠品綠園道のInstagram
https://www.instagram.com/lifeingreenripple/?hl=ja