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コラム

実践!木村一心の台湾でまちづくり。第3回 地域コミュニティ編(上)

台湾に移住して、現地のディベロッパーに設計士として所属しつつ、台中にてアートギャラリーを運営している木村一心 (きむらいっしん) さん。

台湾各地で手掛けた物件と連携し、展示やイベントを開催される一方、設計だけでなく建築の運営にまで関わり、国際交流によるまちづくりに挑戦されています。

そんな木村さんの目を通して触れる、台湾の建築、アート、デザイン。第三回目は台湾の地域コミュニティ編について、ご紹介します。

木村一心自己紹介写真

実践!木村一心の台湾でまちづくり。第3回  地域コミュニティ編

こんにちは、木村一心と申します。台湾に7年住み、まちづくりに携わる仕事をしています。

リノベーション、歴史建築、地方創生などをテーマに、自身の体験を踏まえながら、台湾のまちづくりについて紹介していきたいと思います。

第1回はリノベーションについて、第2回は歴史建築について書かせていただきました。第3回目となる今回は、地域コミュニティというテーマで台湾の街について考えていきたいと思います。宜しくお願いします。

私が暮らす街、西区

第二回歴史建築編で紹介した旧市街地と再開発地域のちょうど間に位置し、現在台中で最も人の集まる場所の一つとされているのが西区です。

第一回リノベーション編で、私の仕事の拠点でもあり、移住してからずっと暮らす街として紹介させていただきました。

今回はそんな西区を事例に、どんな人が生活し、どのようなコミュニティが存在するのか。まちづくりとの関係など、木村の視点で解説させていただきます。

勤美誠品緑園道と市民広場 (提供:草悟道生活圈)

勤美誠品緑園道と市民広場 (提供:草悟道生活圈)

街の成り立ちと構成

西区はかつて、旧市街地から都市が拡大していく中で、住宅地として開発されていきましたが、80年代になり、国立自然科学博物※1や国立台湾美術館※2などの国家規模の建設が行われました。

国立台湾美術館に関しては、当時アジア一を誇る規模で計画され、西区が文化的エリアとして発展していくきっかけとなります。

その後90年代になると百貨店やホテルなどが複数建設されるようになり、商業エリアとしての顔も見え始めます。

そして2000年代には、国立自然科学博物と国立台湾美術館を約3.6キロの緑道(草悟道)※3で繋ぐ計画が打ち出され、その間にあったホテルや百貨店などが一つの長い公園を介して連結されることになりました。

その計画が進む中、勤美誠品緑園道※4(以降勤美百貨店)や草悟廣場※5、綠光計畫※6など文化的な商業施設が次々と計画され、2010年代に緑道とそれら商業施設が一気に完成します。こうして現在の街の形ができあがりました。

草悟道(緑道) 周辺のマップ

草悟道(緑道) 周辺のマップ 日本人観光客にも人気のエリア

小さな集落から商圈へ

古い建物をリノベーションしたり、歴史建築を活用するのが、最近のブームとなっておりますが、箱を作るだけでは人の集まる場所はつくれません。

その建物をどんな人たちに使ってもらい、街と繋げ、広げていくか。それらは地域住民や観光客が継続して訪れる場所にするために考えなくてはならないことだと思います。

台中で建物のリノベーションを行うディベロッパー范特喜微創文化※7の開発の足跡を具体的に見てみると、勤美百貨店がオープンした翌年2009年に、范特喜1号店を勤美百貨店のすぐ側の路地裏につくります。

5号店までを同じエリアに集中させ、文創※8と呼ばれる小さい集落をつくりました。

百貨店に近い立地を生かし、たくさんの人を誘導できる状態にした後、少し離れた、廃墟や空き地がたくさんあるエリアに、7号店、9号店、綠光計畫など、規模の大きいリノベーション施設を完成させます。

范特喜微創文化のリノベ建築マップ(提供:范特喜微創文化)

范特喜微創文化のリノベ建築マップ(提供:范特喜微創文化)

店舗と店舗の動線をつなげ、情報を共有し発信することで、エリア全体で商業活動が盛んになり、小さな商圈をつくります。

日本語での“商圏”の意味は、ある特定の企業などがマーケティングで参考にする、顧客の生活範囲を指すことが多いですが、台湾での商圈(圈の字が異なる)は、夜市や商店街、学生街など商業活動が活発に行われる特定の場所を指す言葉として使われます。

そこには商業活動を通じた地域コミュニティが存在します。その商圈(=商業的地域コミュニティ)をつくりだすことがまちづくりを行う上で重要なことだと考えます。

文創というキーワードを用いて、魅力的な商圏をつくり、そのコミュニティに新規参入する人々が次々に現れ、活性化していったのがこのエリアになります。

各建築とそこを拠点にする個人商店の紹介 (提供:范特喜微創文化)

各建築とそこを拠点にする個人商店の紹介 (提供:范特喜微創文化)

参考:
※1 國立自然科學博物館

https://www.nmns.edu.tw/

※2 國立臺灣美術館
https://www.ntmofa.gov.tw/

※3 草悟道
国立自然科学博物と国立台湾美術館結ぶ約3.6キロの公園

https://travel.taichung.gov.tw/zh-tw/Attractions/Intro/786/%E8%8D%89%E6%82%9F%E9%81%93

※4 勤美誠品綠園道
日本人にも人気の「誠品生活」などがある百貨店

https://parklane.com.tw/

※5 草悟廣場
https://travel.taichung.gov.tw/zh-tw/Attractions/Intro/956/%E8%8D%89%E6%82%9F%E5%BB%A3%E5%A0%B4

※6 綠光計畫 (第一回リノベーション編に詳しい解説あり)
リノベーションされた商業施設。人気のスポットとなっている。

https://www.facebook.com/GreenRay.2013/

※7 范特喜微創文化 (第一回リノベーション編に詳しい解説あり)
木村さんが台湾に関わるきっかけの一つとなった企業。建物のリノベーション・誘致・プロモーションを一手に担う。

https://fantasystory.com.tw/

※8 文創
古いものを生かして新しい文化をつくるという考え。または、そのコンセプトを用いて作られた建物。

後編へつづく

 

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  • この記事を書いた人

木村 一心

木村一心 1988年茨城県生まれ。東京理科大学大学院 理工学研究科 建築学専攻卒。台湾に移住して、現地のディベロッパーに設計士として所属しつつ、アートギャラリーを運営する会社を経営しています。

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