鴨血・ヤーシエがやってきた
「鴨血」(ヤーシエ)という食品をご存知でしょうか。
文字通り、「家鴨」(アヒル)の血でできた食べ物。
手元にある「安閑園の食卓〜私の台南物語/辛永清著・集英社文庫」によると、新鮮なアヒルの血を自然に固めて、さらに茹で上げるもので、昔の中国では、家庭で手作りしてたものだそうです。
食感は豆腐とこんにゃくの中間くらい、やや歯ごたえはありますが、ぷるんとした柔らかい口当たりです。
台湾では火鍋の具の定番で、何も頼まずとも自動的に入っていることが多い気がします。
特に癖もなく、その割に体に良さそうで、食感も楽しいので、入っていれば割と積極的に食べる具材です。
親戚のような食材で、「豬血」(ジューシエ)というものもあります。こちらは豚の血。
同じような食感ですが、シンプルな豬血以外に、お米が練り込まれた「米血」というバージョンもあり、こちらは餅っぽい風味がまた美味しい。
米が入っている分、硬さもしっかりするので、これ単体で、串のようなものに刺して、ピーナッツ粉などをふりかけ、スナックとして食べられることもあります。
どちらも(当然ながら)日本にはなくて、渡台できないこの1年の間に、食べたい気持ちがムクムクと大きくなってきていました。
いつでも食べられると思っていた頃はそうでもなかったのに、会えなくなると突然恋しくなる…みたいな?
台湾に行ったらまず何が食べたいか?と問われても、今なら即答で「豬血湯(豚の血入りスープ)」と答えるでしょう。
最近になって、その鴨血が、日本の通販で変えることを知りました。
正確には、前からあるにはあったのですが、缶入りの2キロ近いサイズ、しかも辛い味付けをしたものしか出回っておらず、いくら好きでも2キロは消費できないので、そちらは見送っていたのです。
でも、今回のは、豆腐くらいのサイズで、しかも常温保存可能品。
フレッシュなものとは若干違うのかもしれませんが、日持ちがするというのは、こういうレア食材に関しては大変にありがたいことです。
早速取り寄せて、豬血湯ならぬ鴨血湯、スープ仕立てに。(どちらも似たような食感なのに、現地でスープとして食べられるのは圧倒的に豬血のような気がする…。なぜでしょう?)
この料理にはニラが入るのが定番で、沙茶醬というインドネシアのサテーソースがベースになったといわれる調味料が味付けの柱になっています。
我ながら、会心の出来で、食べながら一人、井之頭五郎さんにばりに脳内でうなずきまくってしまいました。
その後も鍋に入れるなどして、日持ちするからと3つほど取り寄せたのに、あっという間に完食。
せっかくだから、この美味しさをみんなでシェアしようと、私の主宰する料理教室で、鴨血料理レッスンを企画したところ、意外にも人気で、すぐに定員が埋まってしまいました。(ありがとうございます。)
正体を聞くと少しぎょっとするけど、美味しい鴨血。
みなさんも機会があったらいかがでしょうか。
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ただ、台湾リピーターや留学や仕事で住んだことのある人はかなりファンが多いかと。
騙されてみてもよい食材だと思います。
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