コラム

はなうた食堂のお気に入り(7)台湾式涼麵と日本式冷やし中華

【スーパーにも並び始めた台湾風?!】

夏の麺の代表の一つ、冷やし中華。
私が幼い頃は、「冷麺」と呼んでいた気がするのですが、韓国冷麺の浸透とも関連するのでしょうか。
いつのまにか、冷やし中華という呼び名のほうがメジャーになってきた感じがします。地域差みたいなものもあるのかしら。
ラーメン屋さんなどで食べることもできますし、スーパーに行けば、タレ付きの麺なんかも売っていて、手軽で美味しいですね。

冷やし中華

ところで、この、スーパーに並んでいる冷やし中華のパックの中に、「涼麺」という商品名のものがあります。
読み方は「りゃんめん」、台湾を含む中華圏での、冷やし和え麺の名称です。

日本の冷やし中華もそうであるように、中華圏の涼麺(※中国語では涼麵と表記)にも、いろいろなバリエーションがあるようですが、台湾式涼麺の代表といえば、胡麻やピーナッツペーストベースのタレで和えたもの。

具材もシンプルに、千切り胡瓜だけ、あるいはそこに砕いたピーナッツがトッピングされているだけ、といったビジュアルのものが多い印象です。

日本メーカーの涼麺にも、最近は胡麻ダレのものがほぼ定番的にラインナップされています。
いつの間にか、中華式がやってきていた!といったところでしょうか。

とはいえ、日本のものと現地のものを食べ比べてみると、とても興味深いことに気が付きます。

酢醤油vsニンニク

日本の冷やし中華といえば、もともとは醤油ベースに酢を効かせたものが王道。
胡麻ダレの涼麺も、その流れをくんでいるのか、やはり酢を効かせた味わいです。濃厚でありながらさっぱりして、暑い夏にはピッタリですね。

一方の台湾式は、ニンニクのパンチが印象的です。お店によっては、その後数時間、口の中がニンニクの匂いに占領されてしまうものも…。

甘い/辛い、酸っぱい/まろやか…という対比ではなく、酢醤油/ニンニクといった味に対するセンスの違いが、両者の食文化を端的に表現していて、とてもおもしろいです。

実は、7月のはなうた食堂調理室のレッスンで、この台湾式涼麺を紹介しています。

生徒さんみなさんそれぞれで、タレを仕上げていただいているのですが、かなり意識しないと、みなさんどうしても「酢醤油味=日本風の味」に近づいてしまいます。

これは私にとっても新鮮な気づきでした。味付けの文化というのは、味覚だけでなく、どの調味料をメインと捉えてしまうか、という認知にも影響を与えているのですね。

たれづくり
日本の料理で、ニンニクをメインに味を組み立てるものはほぼ皆無ですから、無意識に脇役としてしまうようです。
逆に醤油は、日本の食文化で育った人間にとってみれば、味付けといえば!というほどに馴染んでいますから、タレの調合でもつい中心に捉えてしまうのでしょう。

実際どの程度ニンニクを入れるかは、好みや体質もあるので、人それぞれでいいのですが、それでも、台湾式を目指すなら、ニンニクを主役、あるいは準主役くらいとして扱うこと。
これが台湾式涼麺の美味しさの秘訣といえそうです。(もちろん、醤油ベースでも美味しくはなりますよ!)

可以試試看!

さて、この台湾式涼麺のタレ、身近にあるもので比較的簡単に作ることができます。

火も使わず、好きな分量で混ぜるだけ。

敢えて分量は示さずに材料をご紹介しますので、よかったらぜひ、お好みの配合でトライしてみてください。意識するポイントは一つ!「ニンニクがメインキャスト」です。

涼麵

可以試試看!(つくってみて!)

・練り白胡麻、無塩無糖のピーナッツバター(どちらか一方のみでもOK)
・にんにく(すりおろし、またはみじん切り)
・醤油、塩
・酢
・辣油
・砂糖
・ごま油
・水(麺に絡みやすいよう、最後に水で濃度を調整します)

(以下、お好みで)
・烏醋(台湾式ウスターソース)
・マヨネーズ
・花椒
・五香粉

麺は、ラーメンの太めストレート、もしくは細めのうどん乾麺などでも合いますよ!

ーー

Akushu
シンプルだけれどまた食べたくなる台湾の涼麵。Akushuも台湾時代お昼ご飯によく食べてました。
より本場っぽく食べるならぜひお供は味噌汁で。砂糖を少し入れて甘くしたらそこはもう完全に台湾!?なはず。

2021年7月26日公開
2021年8月26日更新

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