甘い餡の中から登場する卵の黄身……伝統的な月餅を食べて、驚いた経験のある方はいらっしゃいますか?
あるいは、中華ちまきに具材として包まれているものを召し上がったことがあるという方もいらっしゃるかもしれません。
今回は、この黄身の正体、鹹蛋(シエンダン)、日本語に訳すと塩卵と呼ばれる卵の保存食についてご紹介します。
日本で塩卵、と言うと、塩味のついたゆで卵を思い浮かべる方も多いのですが、鹹蛋は生のままの卵(多くはアヒルの卵)を塩漬けにして作ります。
台湾含む中華圏、ベトナムなど東南アジアでも親しまれている食材の一つです。
塩漬け期間は1ヶ月ほど。漬け上がった卵を割ってみると、おもしろいことに、白身は水のようにサラサラに、黄身はコロンとボール状に固まっています。
このキラキラした綺麗な黄身が鹹蛋の主役。
月餅などのスイーツに使われたり、粽の具材になったり、はたまた刻んだり潰したりして料理の調味料として使われたりと大活躍するのです。
以前(苦瓜記事)にも少し書きましたが、私が初めて鹹蛋を知ったのは、台湾で食べた鹹蛋炒苦瓜という料理。ゴーヤを塩卵で炒めたおかずでした。
ゆで卵とはまた異なる、ザラッとした(嫌な感じではない)食感の黄身と、しっかり塩味のついた白身部分がゴーヤに絡まって、驚きの美味しさ。
なんだろうこれは?と調べたのがきっかけです。
その後、この鹹蛋が家庭でも簡単に漬けられると知り、定期的に漬けては活用しています。
真空パックのものは中華食材店にもあるので、手軽に試してみたければまずはそちらでも。(※市販のものは生ではなく、茹でてあります。)
実に様々な使い方があるのですが、一番手軽なのは、鹹蛋を茹で卵にしてから包丁で粗めに刻み、野菜と一緒に炒めたものでしょうか。
鹹蛋が塩の代わりになるので塩や醤油は使わず、お好みで胡椒を振ったり、お酒をふりかけたりアレンジしてください。
塩気が強いので、分量としては3〜4人分の炒めものに鹹蛋一つで十分です。
他にも美味しい食べ方はいくつもありますが、具体的なレシピは別の機会に譲るとして、今、私のカメラロールにある鹹蛋料理をいくつか並べてみましょう。
【金沙鹹蛋雞翼(手羽のから揚げに塩卵の黄身のをからめ揚げ焼きにしたもの)】
【鹹蛋黃豆腐(豆腐の塩卵煮込み)】
【鹹蛋瓜仔肉(きゅうりとひき肉の大きな肉団子・塩卵入り)】
【三色蛋(ピータンと塩卵の鶏卵蒸し)】
今後、みなさんが鹹蛋に出会ったときに思い出して、美味しさを確認していただけたら幸いです。