台湾は、距離的にも近く親しみやすい国。
とはいえもちろん日本とは異なる国なので、訪れればその都度新たな発見があり、そのバランスにもはなうたは大きな魅力を感じています。
台湾を通して知ったこと学んだことも多く、おかげでずいぶん世界が広がったように思います。
ご存じの方も多いかと思いますが、台湾には様々なバックグラウンドを持った人たちが暮らしています。
最も人口の多い中華系の人たちに限ったとしても、そのルーツとなる地域は大変に広く、そのことが、台湾という小さな島の光景をより複雑に、味わい深いものとしていることは間違いありません。
今回ご紹介するお気に入りは、そんな台湾にある「異文化」、雲南の美食についてです。
■破れ包子!?「破酥包」
こちらの包子(かじりかけですみません)、一見普通の包子ですが、よく見ると生地の部分が層のようになっているの、おわかりいただけますでしょうか?
「破酥包」(ポースーバオ)という名で呼ばれる、中国・雲南省あたりの包子です。
漢字を見てなんとなくイメージがわくかと思いますが、破=敗れる、酥=サクサク、ほろほろとしたという意味があり、食べたときに層になった生地がほろほろっとほぐれる様子が名前になっているようです。
この時いただいたものはオーソドックスな小豆餡でしたが、生地の食感はやはり独特で、層があるぶん軽く感じるのがおもしろいなと思いました。
こちらをいただいたのは、桃園の中壢という街にある「忠貞市場」(ジョンゼンシーチャン)。
国共内戦時に、中国南西部の雲南、さらにミャンマーやタイ北部まで撤退しながら最後まで戦った国民党軍の人たちとその家族が戦後移り住んだ地域です。
中国といえども国境に位置する雲南の文化は、日本の私たちが一般的にイメージする中国のものとはずいぶん異なり、忠貞市場に並ぶ飲食店のメニューも知らないものだらけでした。
■「豌豆粉」エンドウ豆で作られた寒天状の食べ物
豌豆という文字は日本語と同じですね。その豌豆をすりつぶし、加熱して固めたものがこちら「豌豆粉」(ワンドウフェン)。
それ自体にはほんのり豆の香りがあるものの強い味はなく、ゴマや炒った米、香味油の入ったタレとともにいただきました。このタレが、控えめながらも絶妙。暑い夏にさらっといただきたい味わいです。
■雲南式ビーフン「米干」「米線」
雲南式ビーフン。幅広いのが「米干」(ミーガン)細いものが「米線」(ミーシェン)と呼ばれます。
このときは豚肉と卵のスープに幅広の米干を選びました。こちらも味付けはかなりあっさり。味の足りない人は、卓上の調味料で好みにアレンジするスタイルのようです。
東南アジアに近い地域の料理というと一般的に刺激が強いように思いますが、いただいたものはどれも薄味でクセもほとんどありませんでした。
イメージするようなインパクトがなく逆に驚いたのですが、食べ疲れない優しい味わいは、しばらくするとまたいただきたくなります。
通りにはこういった飲食店の他、雲南式月餅ともいえそうな焼き菓子を売るショップや、生鮮品を扱う市場などが密度高く集まっていました。
歴史を物語るかのように、街のあちこちではためく国民党党旗も印象的です。
毎年春には、このエリアの歴史や文化を祝して「龍岡米干節」と呼ばれるお祭りも開催されるようです。
食に限らず、台湾や中華圏の歴史に興味のある方にとっても興味深い地域ではないかなと思いました。
中壢の忠貞市場はややアクセスが難しいのが難点なのですが、台北近くですと、MRT南勢角駅そばにもミャンマー街(華新街/ファーシンジエ)と呼ばれるストリートがあります。
台北市内で雲南料理を出すレストランも複数あるので、次回の台湾旅行の際には「台湾料理」に加えてぜひ楽しんでみてください。
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※参考※
忠貞市場 について
桃園市平鎮區龍岡ロータリーの龍南路から新生路あたり、龍東路から中山東路三段あたり一帯。桃園市の中壢區と平鎮區にまたがっている。
台北駅からだと中壢火車站下車。5分ほど歩いて中壢客運總站から112北もしくは112南乗車、「忠貞」バス停下車。
人数がいれば駅からタクシー乗車も〇。